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〜 プロローグ - IRONMANブランドレース 3戦目に向けて 〜


「死ぬまでにロングディスタンス・トライアスロンを完走する。」


生涯目標。

目標を掲げたのが2005年。
そしてこれを叶えたのが2010年、宮古島ストロングマン。

やがて目標は「死ぬまでに国内5大会のすべてを完走する」にシフトし、2016年の佐渡アストロマンの完走をもって、これを成し遂げる。


それまで目標にしていたステージに到達した。
しかし、そこは終着点ではなく、また新たな目標へと繋がる“チェックポイント”に過ぎなかった。

・・・そういった経験をした事はないだろうか。

山の頂(いただき)から見えるその景色は、それまで麓(ふもと)から見ていたものとは全く異なる、新たな、遥かな、広大な世界。
そう、それまで全身全霊で取り組んできたことがいつしか「普通」になり、そのベースとなる実力をもとにさらなる高みへと挑んでゆく、あたかも成長をし続けるロールプレイングゲームの主人公のように。



そして、それまで「完走して御の字」だったレースも、やがて記録を意識するようになる。
闘いの舞台も、国内から飛び出し、世界へと羽ばたいてゆく。


2018年、IRONMAN韓国、求礼(Gurye)。

もはや完走は当たり前で、記録に挑んだ最初のロングレース。
そして最初の、海外トライアスロン大会。



しかし、結果はやや不完全燃焼感を抱くものだった。
と同時に、40代に突入したこの身体もまだまだいけるという安堵も抱くこととなった。


パフォーマンスの発揮できるうちに次のレースに出たい。
いろいろな国に行ってみたい。

そんな想いから選んだのはオーストラリア、ケアンズ。
レースはもちろん、IRONMANブランドだ。



開催は2019年6月9日。

6月に向けた練習となれば、やはり冬〜春から準備する必要がある。
夏開催のレースとは違い、その準備期間中の寒さゆえ、あまり練習量は稼げないが、9月の韓国完走に加え、12月の埼玉フルマラソン自己ベスト更新といった「昨年秋からの継続練習」効果に期待を寄せる。

しかし。
年明け早々にまたもやインフルエンザにかかり、回復した後の練習を急いだためか、はたまた寒さゆえか、しつこいヒザの痛みに苛まれることとなる。
そしてこれが数ヵ月の長きに渡って持続することになってしまった。

3月に控える板橋フルマラソン、昨年は自己ベストをマークし、今年はそこまでいかずとも「フルの距離を走る」という練習のフラグ立てを目論んでいたが、残念ながら開催日までに身体の準備が整わず、勇気ある撤退をせざるを得なかった。

藁にもすがる思いで通った整形外科で偶然紹介してもらった低周波治療器「AT mini 2」を買ったり、鍼治療をしたり、体幹トレーニングも時々取り入れたが、全快とまではいかず。
けど、それらの成果があったのか、練習中は3種目とも直接的な痛みには至らずに済んだのは幸いだった。


例年、何かしらのトラブルを抱えるが、やはり身体的な痛みがあると辛い。

レースのたびに、「残り100日」の時点でそれまでの練習量を記録しているのだが、残念ながら今年のそれは圧倒的に足りていない現実に直面することとなる。
が、制限時間:16時間30分をめいっぱい使うというペースを考えれば、何とかなりそうだ・・・という実感を抱ける程度まではコンディションを戻すことができた。




■練習実績:SWIM

すっかりお馴染みとなった100m x50本練習会にときどき参加し、これをTI SWIM泳法で常に完泳できるようになった。

しかし、しょせんは2分10秒サークル。
そしてケアンズの海は荒れることもある、という情報もあるうえ、この練習会以外ではほとんど泳ぐ機会を設けることが出来なかったので、油断は禁物だ。



■練習実績:BIKE

レースコースは主に海沿いのフラットなコースに加え、多少のアップダウンがあると聞く。
そこで、今年は荒川のサイクリングロードをひたすら走る練習をメインにしつつ、ときどき登坂練を取り入れるという配分とした。

平地については、今年も大学の後輩のアドバイスを受け、ほぼノンストップで片道50kmを走り続けることを意識した。
これだけの距離を信号待ちも無くノンストップで長時間走り続ける、という練習は過去に例が無い。

平地ということもあり、180kmを25.0km/hで走れ、かつその直後の15km RUNが6分前半のペースで走れたことに、ある程度の手応えを感じた。
問題のレース本番での海風も、ちょうど風の強い時期、しかも往復ともに向かい風を受ける練習も何度かあったが、それでも160kmを24.0km/hペースで走れたので、イイ感じだ。



■練習実績:RUN

こちらは相変わらず練習量が足りていないが、せめて20kmを走れれば、あとは制限時間内に何としてでも辿り着けるはず・・・という、なんとも後ろ向きな作戦を立てる。
だが、初めての南半球、これを絶対に落とすわけにはいかない。

長距離BIKE練の後もほぼ必ずRUN練を取り入れることで、レース本番を少しでも意識した身体造りを進める。
おかげで、不思議といつもおそってくる「RUN走り始めの身体の重さ」を感じる頻度がだいぶ少なくなった気がした。
ペースは遅いが、本番ではこれからフルマラソンを走るだけに、出だしが好調なのは良い傾向だ。



・・・どうやら今回は、IRONMAN韓国で感じた「攻め切れなかった」悔しさの挽回、とまではいかないレースにはなりそうだが、IRONMAN Awardで1位に輝いたCairns、パラダイスでのレース。
どうせやるなら、これを精一杯楽しもうじゃないか。





■補給食

これは例年とほぼ同じラインナップ。
いつも買い過ぎて余り気味なのと、レース中のエイドステーションでの補給もあるので今年は若干、量を減らしてみることにした。
いや、ほんと「若干」だけど。



■BIKE装備

こちらは例年通り。新調するギアも無い。
韓国から半年少々しか経っていないことを考えれば、韓国に向けて準備した内容のそのまま延長でも問題無さそうだ。

念のため、TIMEXウォッチとサイクルコンピュータの表示が薄めだったので、電池交換をしておく。
また、チューブも交換。ミシュラン Air Comp UltraLightはその名に反してやや重めらしいが、レース中のパンクは皆無。
盲目的に、願掛けの意味も含めてて今回もコレでいくことに。

実は、いいかげんT.T.BIKEに乗り換えては?という思いもあり、MayStormに行って話を聞いたりサイズを測ってもらったりと、いろいろ検討したけど、金額もそうだけど、やはり今までのロードと共に、とことんまで走っていきたいという気持ちのほうが強く、今回もこれを見送ることにした。

あァ、そういえばヘルメットは買い替えたっけ。
かれこれ15年以上使っているヘルメット。店員曰く、いざというときにアタマを守れないほど劣化しているとの営業文句w
けど、少なからず本当だろうから、これを機に買い替えてみることにした。

手前の黒が新しいほう。
色は娘のチョイスだw





■BIKEハードケース

韓国の移動中に破損し、大変な思いをしたBIKEハードケースのタイヤ。
これは結局、近所のカギ屋で類似のゴムタイヤに修理交換してもらうことにした。

再度の破損は怖いけど、よく考えればタクシーをもっと使えばいいだけじゃん。
・・・そう思うと気楽になれる。



■スケジュール

いつも移動と現地滞在プランは悩みの種のひとつだが、今回は飛行機の時間と金額を考慮した結果、往路は6/4(火)夜発〜5(水)早朝着、復路は6/11(火)昼発〜同日夜着というプランでいくことにした。

有給休暇はたっぷり使うことになるが、まぁいいだろう。
それよりも、いつもと違って現地滞在時間にだいぶ余裕がある。

そこで、今回は観光を目一杯いれてみることにした。
グレートバリアリーフ、熱帯雨林、星空観光、カジノ・・・おカネは掛かるけど、そのどれもが日本では経験できないことばかり。
たまには観光気分で、気楽に臨むレースがあったっていいじゃないか。

実は当初、スカイダイビングも予約したものの、レース前に捻挫でもしたら大変だし、海外旅行保険の対象外になるのでキャンセル。
まぁ、スカイダイビングは埼玉でもできるし、そのうちチャンスはあるだろう。



■移動手段

飛行機はJet Star。べつにLCCである必要は無いけど、直行便はこの一択しか無いようだ。
料金プランを見て、申し込んで、決済をして。

ふと後から見返すと・・・あれ?なんだこれ。「しっかりMAX」プランじゃなくても、追加料金を払えば機内食もあるし、重量超過料金もちゃんと払う手段があるじゃないか。
・・・気になって計算すると、、、同じ内容で18,000円近くも安く済んだことに気付く。
失敗。。。

ま、まぁ、今年は会社のアワード作品で最優秀賞を取って金一封も貰ったから、余裕で旅費の全額をまかなえるんだけど、でもなんか悔しいw
臨時収入があっても金銭感覚は一定を保つのがひとつのポリシー(何

あとはまぁ、「しっかりMAX」だけの特典である、非常口近くの(足元が広い)座席が往復とも取れることと、あと復路の空港ラウンジを(使う余裕があれば)使うことで、ちょっぴりいい気分になるよう努めるしか(何



■宿泊施設

宿はエクスペディアで予約。1泊およそ4,700円。
もちろん、ツアー会社のプランも比較したけど、あちらはサポートは充実しているものの、宿がとにかく高い。

韓国でも自分で手配して、何とかなったので、今回も大丈夫だろう。
なにせ今回は英語圏だし、場所も空港から5kmと、とても近いので韓国のような惨事にはならないだろう(汗



ただ、あとから気付いたのだけれども、メイン会場まで徒歩30分ほど距離が離れている。
BIKEで移動すれば大したことは無いが、問題はレース当日のシャトルバスだ。

BIKEはレース前日にスタート会場:Palm Coveに預託する必要があるうえ、そもそもPalm Coveまで30kmも離れているので、バス移動は必須。
が、そのバス集合場所も、Cairnsのメイン会場。
つまり、早朝4時から30分歩かなければならないのだ。
タクシーも考えたが、果たして手配できるだろうか、と、いろいろ心配になる。




そこで。

発想を転換し、Palm Cove側でレース前日に1泊する、というプランを急遽思い付く。
思い付いたら即、ホテル探し。

幸い、最安値:1万円のホテルが残っていた。なんとラスト1部屋。
場所もスタート会場から徒歩10分以内という好立地!

追加の出費にはなるが、かなりのリゾートホテルそしてクイーンサイズベッドゆえ、まぁ、少しくらい贅沢してもいいか。
そのぶんCairns側のホテルは安く抑えたし。




これを踏まえた総額を6泊で割ると、1泊6,500円。
まぁ、まだ許容範囲内か。

同程度の予算でセオリー通りに「Cairns中心街のホテルに泊まり、レース当日の早朝、シャトルバスで移動する」のと、「Cairns滞在中は少し離れているが、肝心のレース当日はラクラク移動できる」のを比較すれば、どちらを選ぶか。
そう考えると、今回の選択は決して間違ってはいないと思う。



■情報収集

Webで過去のケアンズ参加者のブログを見て情報収集していると、なになに、ETAS申請?
オーストラリアに入国するには1,000円ほど払って入国申請手続きがいる、だと?
一般的にはツアー会社で手配するから、ツアー会社の人が代行してくれるけど、今回のように自分で手配する場合は自分で申請が必要だと?

あ、あぶねー。

先人の情報に感謝しつつ、さっさとオンライン手続きを済ませる。
証明書のようなものは出ないので少し不安だけど、パスポートを何度もチェックしての申請だから、まぁきっと大丈夫だろう。


パスポートの有効期限は、韓国を前に10年更新したので全く問題無い。
そういえば念のため取った国際免許証、今回はどうしよう。
都市部での開催だから、不要かな。うん。大丈夫だろう。








目指す目標、それは攻めのレースだったが、やはり冬〜春の練習量の少なさ、そして怪我を考えると、6月の開催は自分にとっては微妙な時期だったか。

けど、2010年・宮古島は4月。2012年・長崎は6月だ。
過去のロングレースで一番手応えがあったのも、6月の長崎だ。
だから今回も出来る限りのことを、やろう。

レース後に動けなくなっても、宿は近いし、BIKEピックアップは翌日でも問題ない。
飛行機はさらにその翌日だ。
だから大丈夫。



IRONMANブランドレース。

2015年・Japan:北海道。
2018年・Korea:Gurye.
2019年・Australia:Cairns.


IRONMAN Legacy Programの条件、フルディスタンス12レースの完走をもってKONAに推薦されることを切望すること。
これが自分にとっての現実的な、ハワイへの道。

今回はその「12分の1」のフラグ立てに過ぎないかもしれない。

けど、人生の半分を過ぎ、肉体的にも衰えを感じつつあるなか、今後どうしていきたいかを自問したとき、やはり「いつまでも元気でいたい」、「世界に挑み続けていきたい」、そして「いつか娘と一緒にレースに出たい」という想いが、情熱がある。


だからそのモチベーションを維持し、そしてレースを楽しみ、旅を楽しむ。


今回はいつも以上に楽しんで、そして必ず完走して、堂々と帰国しようじゃないか。



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