>> プロローグ <<

〜8年振りの自転車レース「ツール・ド・おきなわ」参戦〜



一度は辞めたはずだった。

一度は見限ったはずだった。


120kmを走破して、満足して、終わったはずだった。。。



忘れもしない8年前の11月、その時のコンディションは最高だった。

大学で所属していた自転車部での“やらされる”練習から、某メッセンジャー会社に所属してからの“自分の意思で走る”ものへと変遷し、そのピークで参加した2000年度の「ツール・ド・おきなわ120kmレース」。

その結果は必ずしも満足のいくものではなかったが、これを集大成として自転車競技を辞めるにはふさわしい幕切れであった。



しかし、その後も毎年のようにエントリー用紙が郵送される。


もう、あんなキツい競技はしたくない。

もう、体力的に無理だろう。


今さら再開したところで、チェックポイントで足切りされるのがオチだ。。。



それでもエントリー用紙は届く。



あの時は良かった。

あの時のキモチをもう一度体験できたら、どんなに楽しいことだろう。。。



35歳くらいまでに、120kmは無理としても、せめて80kmか50kmレースに出れたら…




気持ちが徐々に変化していく中、その実現への環境は別の方面から近付いてきた。


2007年7月、昭和記念公園トライアスロンへの参戦。

エントリーをしてから、実家でホコリを被っていた自転車を清掃し、メンナンスをし、練習をし、当時の感覚を呼び覚ましてゆく。


その後も練習を重ね、50km、100km、150kmと走行距離を伸ばすことも出来るようになっていった。




年が明け、走行距離が200kmを超えることが出来るようになった頃、それは届いた。

「ツール・ド・おきなわ2008」のエントリー用紙。




毎年届くこの用紙も、今年の意味合いは少し違っていた。

レース勘は未だ取り戻せてはいないものの、80kmか50km程度であればきっと完走できる。


期待と不安が入り交じる中、念のためオンラインエントリーサイトを開いてみる。

■200kmレース     :残り僅か
■130kmレース     :定員
085kmレース     :定員
050kmレース     :エントリー可能
■本島1周サイクリング:エントリー可能
■189kmサイクリング  :エントリー可能


これは…

不安は尽きる事が無い。しかし、ここで悩んでいては他の部門も間もなく定員となってしまうだろう。


そう考え、50kmレース、そして200kmレースのコースを走ることが出来る189kmサイクリング「やんばるセンチュリーライド」の2部門にその場でエントリーを決行。




「いつか走りたい、でも夢のまた夢であった200km部門。」
そして、
「レースは出たいが体力的なブランクが心配、でも沖縄まで行って、わずか50kmでは勿体無い。」

この両者を適えた今回の組み合わせに運命的なものを感じずにはいられない。




こうして、8年振りとなるツール・ド・おきなわの旅路は幕を開けるのである。





荷造り、そして移動手段への苦心


遠征レースの最大の懸念点のひとつ、それが自転車の輸送方法である。 しかし8年前のレースでは輪行袋に詰め、加えて緩衝材として毛布やバスタオルを利用することで無事に輸送できた経験から、今回もそれに倣うことにした。

加えて、これまでの練習で、復路を輪行袋に詰めて電車で帰るパターンも何度か実践していたため、荷造りについては比較的スムーズにいった。




■ハンドル・フォーク・チェーンリング・ディレーラーにエアキャップを巻く。
■前後輪は2枚のバスタオル×2で保護。
■手荷物は極力少なくする。


飛行機の振動を想定して、ディレーラーと前後輪のスポークを守る事に重点をおいた結果、このような梱包に落ち着く。




そしてもうひとつの懸念点、それがタイトなスケジュール。
特に…

■那覇空港から名護への移動をどうするか。
→首里城を軽く観光し、また空港に戻って高速バスに乗るか、それとも首里城近くのバス停から路線バスを使うか。
(那覇インターからの高速バスが定員オーバーだったら即アウトのため。)

■50kmレースの後に美ら海水族館に行きたいので、確実に完走した後、1時間弱でホテルをチェックアウトし、荷造りをし、自転車を宅急便に預け、着替え等を全て済ませて水族館行きのバスに乗ることが果たしてできるか。
→チェックアウトを先に済ませ、また自転車も水族館から戻ってきてから預ければよいかもしれないが…

■閉会式の途中で抜け出して帰りの高速バスに乗るが、その時間をどうするか。
→ギリギリまで粘ると、バスが30分遅れたら帰りの飛行機に乗れない。また土産を買う時間も無さそうだ。




そして何より肝心なのが天候。

天気予報は曇り時々雨。




しかし、今から心配ばかりしていても仕方がない。

きっと、きっと大丈夫。


そんな楽観的な想いも抱きつつ、当日が来るのを待ち侘びるのであった。

 

次へ / もどる