>> 市民50kmレース <<

〜8年の月日を超え、再びこの地に立つ〜



04:40 起床。天候は雨。気温は25度あるが風が強く、肌寒い。


05:00 朝食。


06:00 レース会場へ移動。
結局、雨の中でのレースとなりそうだ。だが雨なら雨でその走り方は心得ている。あとはその感覚が取り戻せるかだ。


06:10 レース会場到着。
同じく多方面からレーサーが会場へと集まってくる。
テンションが上がる。


06:40 スタートラインへと続く列に並ぶ。


06:50 国際200kmレースから各種目が順次スタートしてゆく。
次第にスタートラインに近付く。


一度は自転車競技を辞めた自分が今、再びレーサーとしてこの場に戻って来れた事に感謝をせずにはいられない。



07:10 女子50km部門がスタートする。いよいよ次が。。。
雨にうたれ、体温は下がり気味だったが己を鼓舞し、気合いを入れる。


やる以上は、納得のいく走りを、する。




07:20 号砲が鳴る!

短距離レースゆえ最初から飛ばすレーサー多数。そしてもちろん、自分もこれについて行く。



レーサーが牽制し合い、集団を形成し、先頭交代をし、やがて直線的な集団が形成されてゆく。


そのスピード感、集団走行、風避けのための位置取り、前方の危険察知、そして雨天での走り…

過去に刻まれたレーサーとしてのDNAが鮮明に蘇る。



車間距離10cm、平均時速40km/hの走り、ここに復活。




!!!


レース開始約20分。前方で大声!

直感で車間を空け、前を確認する。


自分たちの集団から50mほど離れた前方集団の多重落車だ。ちょうど海沿いを走るコース、恐らくその突風にバランスを崩した一人が他のレーサーを巻き込んで倒れてしまったのだろう。

瞬間の判断で通過スペースを見つけ、後方のレーサーにサインを出す。競技とは言え、これもスポーツマンシップの一環なのだ。


トップ集団はもう見えない。が、後方でも自分の実力に適したスピードで走る集団がいるものだ。
この競技、単独走行は自殺行為。
スピードを多少抑え、体力の回復を図ると共に後方集団が来るのを待ち、これについて行く。


コースは前日に走った189kmサイクリングの前半とほぼ同じだ。おかげで急激な坂の数や下り坂の場所もおおよそ把握している。
しかし…さすがに2日連続はキツい。スタートしてまだ僅かの距離だが、レースのペースですでに50km程度消化した状態のような疲労感に否が応でも襲われる。
だが、そんな両ヒザの痛みに耐え、向かい風に耐え、寒さに耐え、先を目指す。

幸い、寒さは多少あるものの寒すぎて身体が動かない程ではなく、また今いる集団の速度も速すぎず、遅すぎる程のものでもなかった。




1回目のスプリントポイント。


勾配のキツい橋にそれはある。が、トップ選手のみが意味を持つこのポイントも、後方集団にとってはただの“キツい坂”にほかならない。

案の定、集団がバラけ皆が単独走行状態となるが、さすがにそれはまずいと思ったのだろう、各人で再び小さな集団を形成し、集団が集団を吸収し、やがて大きな集団へと戻ってゆく。

それにしても、上り坂の無酸素トレーニングは久しくしていない。やはり坂ではどうしても離されてしまうか…



しばらくの直線、緩やかなカーブそしてアップダウンを経て、美ら海水族館前を通過する。
予定ではゴール後に急いで帰り支度を済ませ、バスでここに来る予定だ。
そのためにも、何としても9時までにはゴールしなければならない。

そんな、他のレーサーとは少し違ったモチベーションを抱きつつ、2回目のスプリントポイントへと向かう。




?!!!


前方で大声!

この直線で…?



落車だ。

交差点内のガードレールに激突して倒れ込んでいるレーサーが数人。


ちょうど交差点誘導員の動きや、沿道での応援の人たちの立ち位置が紛らわしかったのだろうか、右折と勘違いしたレーサーがスリップし、ガードレールにぶつかってしまったのだろう。

前日の走りでコースが分かっていてよかった。。。




2回目のスプリントポイントが設けられた急勾配を上る。

だが、さすがに後方集団。トップレーサーとは違って、自分と同じような超スロースピードでも集団はさほどバラけない。苦笑。



しばらく海沿いを走り、200kmコースと50kmコースとの分岐点に到達する。

昨日のサイクリングでは200kmルートを辿ったが、今日は当然…。




残り10km。


市街地に入る。
8年前は昼下がり、自分たちのための交通規制による大渋滞の中を走ったが、さすがに朝からはさほどでもないようだ。それでも車は列をなしていたが、時折の車中からの応援に応え、残りの距離を縮める。



残り5km。

恥ずかしながら、既に足は疲労困憊。しかし後方から一人のレーサーが果敢にも単独で高速で抜いていったので、最後の力を振り絞り、彼について行く。



残り2kmを切り、最後の長い上り坂に挑む。

残念ながらこれを彼と同じスピードで上る体力はもう、無い。
しかしこれを上りきればゴールは目前だ。




残り1km、

500m、


300m…



100m…





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8年前とはあらゆる環境が変わった。
自転車競技を中心とした生活からは遠く掛け離れた日々を過ごすようになった。

走る距離も、体力も、なにもかもが変わった。。。


しかし、沖縄は変わらない。それはレーサーを魅了し、それはハートを昂ぶらせる。



そんな沖縄のスタートラインに再び立ち、フィニッシュラインを再び越えることを実現させた今回の出来事は、アスリートとしての魂に深く刻み込まれ、きっとこれからの人生でも大きな価値をもたらしてくれる事だろう。。。




8時57分、完走。

 

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