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〜 レース当日 / 生涯目標を実現せしむるにやるべき事は、ただひとつ 〜



緊張、興奮、高揚そして…感謝



03:20 起床。



早朝からがっつり食べて、トイレでしっかり出すのはいつものルーチン。



04:30 荷物を抱えて、送迎バスでスタート会場へ。
眠かったのだけれども、我慢するよりは…まだスタートまで時間があるので、、、寝る。




04:55 スタート会場到着。
真っ暗な中、自転車の最終チェックに、


上腕部へのゼッケンナンバー記入、ICチップ取り付け、


ワセリン塗布、着替えといった準備を着々と進める。


到着時は真っ暗だった光景も、徐々に明るくなってくる。



とそのとき、自分に声を掛ける夫婦の姿。

誰?

あ・・・


宮古島行きの飛行機で隣同士になって会話をした59歳のスーパーアスリートのおっさんじゃないか。

しかも奥さんは応援かと思いきや、しっかりゼッケンを付けている。
なんとハイパーな夫婦だこと。。。


お互い健闘の言葉を交わし、それぞれの準備に分かれていく。




約20分の、トイレの長蛇の列に並びながらストレッチ。



そしてウエットスーツを身にまとう。
でもってやはり緊張してきたので、正露丸を服用。


RUNスタート地点に送ってもらう荷物を預け、BIKE用荷物を所定の場所にセットする。



…BIKEとRUNのスタート地点が違うレースは初めてなので、イマイチ勝手が分からないな。
まぁでもいいや。もう、じたばたしない。
きっと、大丈夫。



06:30 スタートエリアに入る。

一度入ったらもう、後戻りはできない。



「今日一日、よろしくお願いします」の念を込め、頭を下げたのち、ゲートをくぐる。



入水チェック。
水温は約21度と低めだが、思ったほど冷たくは無い。


給水を済ませ、スタート位置に並ぶ。
総勢1,500人余りのアスリートが一同に会す姿には、いつもシビれる。



長い年月をかけて、ようやくここに立つ事ができた。

来て良かった。



地元の放送局の生中継はすでに始まっている。
そしてMCがスタートを盛り上げる。

不思議なもので、スタートラインに立つと緊張感が無くなる。
ある意味、会場の雰囲気にのまれている、のかもしれない。




カウントダウンが始まる。

10…9…8…


一瞬の静寂。


「パン」

乾いたピストルの音が鳴り、自分至上最長にして最高峰のレースが今、幕を開けた!




千里の道に挑む、はじめの一歩 −SWIM 3km



3kmのSWIM、まずはこれを1時間50分以内に泳ぎきる事からレースは始まる。
加えて本大会は、1,700m地点で50分をオーバーするとそこで足切り。



実力的には、数週間前の1,500m記録会で32分を、そして去年の3kmの遠泳大会ではこれを1時間16分で泳げているので、普段通りいければ問題無いはず。
だが、爆弾である右ヒザ裏の痛みがいつ爆発するか分からない。
テーピングとファイテンテープを目一杯貼ってみてはいるものの、果たしてどこまでこれが作用してくれるだろうか。

終始の不安を抱きつつも、大きな水中バトルに巻き込まれる事も無く、距離を稼いでいく。


澄みきった青い海、すぐ下に広がるサンゴ、そして魚たち。

佐渡のレースでもそうだったが、1,500人の「流れるプール」現象はここでも健在。
マイペースを守りながら省エネ泳法で無心に腕を回し、キックを打ち、、、

気付けば最初のチェックポイントである1,700m地点に到達していた。

タイムは28分36秒。ウエットスーツと海水による浮力のおかげもあるが、タイムとしては上出来。ヒザの調子も悪くない。


残り1,300m。コーナーを曲がり、陸に向かって泳いで行く。

聞くところによると、1,700m地点までは潮の流れに恵まれているものの、ここから先は逆流らしい。
だが、人の真後ろで泳ぐことで少しでも「流れるプール」の恩恵を授かりつつ、残りの距離を消化していく。



水深が浅くなり、足がつき、ついに陸へと上がる。

SWIM直後のフラフラ感はさほど無い。
そしてタイムは…

1時間01分ジャスト。

上出来、だ。
ヒザもまだ、大丈夫。



スタート直前にセットした着替え袋を持って、着替えテントに走る。

急ぎながらも落ち着いて着替えを済ませ、テントを出て自転車置き場に走ろうとした時、着替え袋を回収するボランティアの姿を目にする。
なるほど、そういう事か。
ここで預けたら、あとはゴール地点まで返ってこない。
必要な機材まで渡そうとしていないか考えを巡らせること一瞬。

そして袋を預ける。



自転車の準備をする前にトイレに行く。

今年の1月、トライアスロン講習会のときに情報収集した小技だ。
ここから先は155km、時間にしておよそ6時間の長丁場。
長い目で見れば、後々のトイレの時間を浪費するよりも、今ここでわずかな時間を費やして処理しておいたほうが、精神的にも安定する。


用を済ませたらいよいよ自転車をセットし、これを押してスタートラインに急ぐ。

急ぎすぎない。
でも、もたもたしない。


スタートラインを越えて、自転車にまたがる。
この間、12分12秒。
目標にしていたスタート時間までは、まだ17分のアドバンテージがある。

このレース、行けるかも!?


不安で一杯だった本大会に対して初めて前向きになれたのは、この時からだった。




追い風、向かい風、長丁場 −BIKE 155km



学生時代に所属していた自転車競技。しかしそれも、ケガによる練習不足もあって、今や最も不安な種目のひとつになってしまった。

距離は155km。
制限時間は15時10分。
目標は14時30分のゴール。平均時速にして25.83km/h。

しかし、頼みの綱であった風が、少し強い。
こうなったら追い風で時速を稼ぎ、向かい風をそのアドバンテージで乗り切るしかないか。。。



最初の目標ポイントである30km地点・池間島。



ただ、ここまでの追い風もあってか、トータルで30分ほどのアドバンテージを稼ぐことが出来ていた。
平均時速はなんと、31.6km/h。


宮古島最北端に位置する池間島を一周して折り返すと一転、強い向かい風が襲い掛かる。

本島と池間島を繋ぐ、長い一本橋。
風をさえぎるものが何も無く、これまでのペースが一気に落ちてゆく。


ただ、橋が細いがため、どの選手もペースダウンして団子状態になっている。

本来他人の後ろにくっ付いてこれを風除けにする「ドラフティング走行」が禁止されているトライアスロンにあって、ここは堂々と(?)ドラフティングできる場所。

手頃な集団を見つけ、風除けにしては、この難関地帯を切り抜けていく。




…50km地点。
早くも、疲労感。



というか気分が悪い。
やはり風邪が治りきっていなかったのだろうか。

補給食をこまめに摂り、ガマンのレースが続く。








70km地点。
宮古島最東端・東平安名崎を折り返すと一転、今度は追い風になった。
どうやらここからしばらくが、風向き的にも完全な追い風になるようだ。



体調と疲労も回復してきた。
目標タイムとのアドバンテージもまだ25分ある。


平均時速40km/h弱で快調に飛ばす。

コース一番のヒルクライムゾーンでさえも、ペースを落としつつもムリしない走行で、さほど苦にならずにやり過ごすことができた。



そして宮古島最西端のスタート地点に戻ってきた。
残り、55km。




ここまでの平均時速:27.4km/h。
悪くない。
次の向かい風が来る130km地点まではこのペースで行けそうだ。
そして150km地点まで我慢すればコースが分かれ、島中心部に入っていける。
そうすれば向かい風も少しはラクになるだろう。



2周回目ともなれば、ほかの選手も疲れが出てきているようだ。
木に寄りかかって休憩する選手、あお向けに倒れている選手…。

みんな、頑張って最後まで辿り着いてほしい。。。



130km地点・2回目の池間島を過ぎる。
目標:13時30分に対し、現在12時49分。
少し早すぎるだろうか。

でも、恐らくはこの後の向かい風でペースは下がるだろう。
だからたぶん、このままで大丈夫だと思う。。。


コースを折り返し、向かい風に対峙する。
案の定、スピードがみるみるうちに下がる。

でも、それでもできればここまで稼いできたタイムを消費してでも、全体平均26.0km/hは死守したい。



頭がボーッとする。
風が強い。
ほかの選手に抜かれると、ダメだと分かっていてもついついその後ろにくっついて風除けにしたくなってしまう。。。

我慢。我慢。


ふと、トイレにも行きたくなってきてしまった。
が、あともう少しの辛抱でBIKEフィニッシュ。
高速走行を止めてまで行くトイレのタイムロスよりかは、フィニッシュ後に行ったほうが絶対に良いに決まっている。

こちらも、我慢、我慢。




平均時速がじわりじわりと下がる頃、ついに150km地点を過ぎる。

予想通り、木々に覆われた道のお陰もあって風も多少おさまってくれた。
BIKEフィニッシュ地点まで、あと少し。





カーブを曲がる。 沿道の応援も少しずつ増えてきた。
が、フィニッシュ地点までは意外にもなかなか辿り着けない。
カーブを曲がるたびに、まだ先があるという落胆、そして疲労。

まだか、まだか。

トイレも早く行きたい。
だいぶ疲れてしまった。。。

けど、着実に距離は消化している。この長丁場もあとほんの僅か。



最後の我慢を経て市街地を走り抜け、カーブを曲がると、ついに「BIKE FINISH」の横断幕が目に入った。





13:59 BIKEフィニッシュ。

「おかえりなさ〜い!」のアナウンスを耳にしつつ、バイクラックへと向かう。
達成の充実感もさることながら、次から次へと走り抜ける選手の姿に、レースがまだまだ終わらない実感を否が応にも感じさせられる。


それよりも心配の種は…
スタート地点で預けたRUN用の荷物…


よかった。ちゃんとある。

着替えテントを横目にその場でランニング仕様に着替え、カカトが浮くシューズ対策に用意した厚めのバンドエイドを貼り、トイレを済ませて最後の種目に向かう。


これからフルマラソン。

目標スタート時刻:14時40分。
現時刻:14時10分。

制限時間まであと、6時間20分。




ここまで来たらもう、やるしかない −RUN 42.195km



正直、ここまで来れるとは思っていなかった。

けど、ヒザはまだ大丈夫。
タイムも予想以上の良ペースで来ている。

ただ、ここまでを「ウォームアップにSWIM、155kmのBIKEが本番。あとのコトはそのとき考える。」という気持ちで来ていただけに、果たして“そのとき”を迎えた今、ゴールまで行くことが本当に出来るのだろうか。。。


でも、

タイムオーバーにならない限り諦めない。
少しでも痛みを感じたら歩く。
小走りペースならゴールできる。

エントリー代や飛行機代その他もろもろ10数万円を費やし、手間も物凄く掛かってやっとここまで来て、それで「ふりだしにもどる」はイヤだ…


やるしかない。


気温は…低くはないものの、向かい風が少しずつ体温を奪っていく。
今回、タンクトップとランニングシャツを持って来たが、南国とは言えまだ肌寒かったため、後者で準備をした。
その選択は正解だった。

ただ…それでも少し寒い。

コースは21.0975kmの一本道を往復する単純なルート。
だからまだ陽のあるうちに往路を走りきり、向かい風を乗りきってしまいたい。


最初の5kmポイント。

タイムは34分13秒。
1km7分ペースだ。
この後ペースは落ちるだろうけど、それを考慮してもかなりの上出来には違いない。








今回のコースには、ずいぶんとエイドステーションが用意されている。
おそらく2〜3kmごとにある、くらいの勢いだ。

そしてエイドステーションごとに、次のエイドステーションまでの距離も明記されている。


そういえば1月のトライアスロン講習会で「エイドステーションはたくさんあるので、補給食を持たなくても乗り切れる」という話を聞いたな…。
そんな会話のシーンをふと思い出しつつ、その恩恵にすがる。


多くの選手がひとつの目的地を目指して突き進む。
サポートするボランティア、そして沿道の応援。
しかし、賑やかなようであっても、選手一人一人にとってはどこか心細いもの。
だが、そんな心境にあってひときわ賑やかなエイドステーションはやはり、いつも頼りになる存在だ。

ひとつひとつのエイドステーションを刻み、タイムを刻み、距離を稼いでゆく。





15km付近。
徐々にペースが落ちてくる。



溜まってゆく疲労。
無理もない。ここまで8時間以上も走り続けてきているのだから。


体温が下がる。
念のため、風邪薬を飲んでおく。
気休めとは言え、飲んでおくことにこした事はないだろう。


とにかくハーフポイント。
とにかくハーフポイント。

それだけを目指し、小さな小さな歩みを一歩ずつ進める。


沿道の誰もが自分たちを応援してくれている。
それに応える気力はほとんど無くなってしまったが、でもこれが無ければ絶対に、こんな無謀なレースに挑戦することなど不可能だろう。。。



コースに点在するアップダウン。これが意外とキツい。
歩いて上るのはいいとして、下りをペースアップしてヒザに負担を掛けるのは論外だ。

それに少しムシ暑くなってきた。
そういえば路面が少し濡れている。
雨でも降ったんだろうか。

ただ、体温が下がり気味だった自分にとっては救いの気候だった。


市街地はとうに去り、何も無い田園風景をただただ突き進む。
同じ道を、すでに折り返し地点を過ぎた選手が戻ってくる。

応援の声は絶えない。

横断幕で応援する人たちもいる。
ボランティアで補給食を出す人たちもいる。
巨大なスピーカーで音楽を、月光仮面を流すオッサンもいる。

みんな思い思いの方法で、選手たちや応援している本人たちが楽しめるような、そんな工夫をしながら勇気付けてくれている。


「もう少しでハーフだよ!」


ついに、願っていた声が耳に入る。
ハーフまで来れば、いよいよゴールが現実的なものとなってくる。


ヒザの調子は悪くない。
唯一くるぶしの辺りが少し痛みだしたので、小休止してバンドエイドでガードしたが、問題のヒザ裏はまだ、もっている。

テーピングの効果はテキメンだったか。


あと3時間。
あと3時間でいい。俺の身体、もってくれよ。。。






16:43 折り返し。

待望のハーフポイントを過ぎると、予想通り風も走る速度にちょうど良く、無風状態になってくれた。



ペースはだいぶ落ち、歩く頻度も増えてきた。
陽もかなり沈んできた。

でも、残り3時間でハーフマラソン。
ほとんど歩いてもゴールできるペースだ。

それに目標17時20分に対して、40分近くもアドバンテージがある。
こうなったらもう、何が何でもゴールしなければ嘘だ。





エイドステーションでは、これまで主にスポーツドリンクと果物を摂っていたが、ハーフを過ぎてからは温かいお茶を摂るようになった。
足りない塩分は、あらかじめ準備しておいた錠剤タイプの塩の固まり、そしてエイドステーションの塩を指でつまんで口にする。
ここまで来たらもう、気持ちはゴール一直線。

ペースは1km8〜9分にまで落ちてきたが、もともとそのペースが目標だったので問題ない。
少し走って、歩いて、また少し走るを40分前後繰り返せば5kmが勝手に消化される。

良いペースだ。



23km地点付近。
往路を走る、マッチこと近藤真彦選手とすれ違う。

去年の佐渡ヶ島ミドルディスタンスでも同じ舞台に立ち、奇遇にも今回も同じ舞台に立つ。
およそ5kmは後方だろうから、時間にして30分程度は勝っている計算になる。
このままゴールまで勝ったままで行ければ…

新たな目標がまたひとつ。


25kmを過ぎてから、かなり歩く頻度が高くなってきた。
でも、それでも1km9分を超えることがない。どうやら、エイドステーションやトイレ以外、完全停止をほとんどしていない事にその要因があるようだ。

体温も問題ない。
体力・気力とも大丈夫。

ケガの再発を恐れるがゆえのスローペース、しかし痛みの出ないギリギリでの調整が、ここまで順調に歩を進ませ、そしてこの体力のキープを可能にしてくれたのだろう。
それに天候も味方してくれた。
BIKE時の風こそ強かったが、曇りがちゆえ暑さによる体力の消耗を防ぎ、RUNの復路追い風も文字通り、ゴールへの後押しとなっている。


すれ違う往路の選手はすでにいなくなった。制限時間の波に飲まれた選手もいることだろう。
しかし、あらゆる運を味方に付けた俺に、もはやタイムオーバーの心配は無くなった。

30km地点のチェックポイント、制限時間:19時15分。

通過時間、17時56分!





止むことの無い、沿道の声援。
いよいよもって現実となりつつある「完走」への想い。

もう大丈夫。
もう後を全部歩いたって、大丈夫。

俺の身体、よく頑張ってくれた。


市街地に戻り、声援がますます増えていく。
本当はもう少し歩きたかったけど、応援されるとついつい、小走りペースに上げてしまう。

「おかえりなさい!」
「あともうちょっと!」

掛けられる声の全てに手を振って応える。
すっかり陽も暮れて、時々小雨が降る中、それでも島中の老若男女が応援してくれている。

インターネットで情報収集しているときに時々見た「最後の商店街の応援は良かった」というメッセージは、このことだったのか。。。

鳥肌が立つ。




遠くから、ゴール会場の賑やかな声が聞こえる。

歩を進めるごとにそれが大きくなっていき、、、


ついに、暗い街中に煌々と輝くゴール地点の姿が目に入る。



最後のカーブを曲がり、ゴール地点の陸上競技場へと向かう。






ゴールでは、ゴールテープを頭上に高々と掲げて喜びを爆発させるんだ!


11年前に見た写真、この競技に夢を描いたその光景が、もう目の前で待っている!!


ドーン!
ドンドン、ドーン!!

瞬間!花火が打ち上げられる!
制限時間1時間前を告げる花火だ!

それと同時に陸上競技場に入っていく!





大歓声!
応援の人だかりをかき分けるように、祝福されながら400mトラックに吸い込まれてゆく。。。

闇の中を走り続けた先に突如として現れた、光と音に囲まれたまばゆい世界。
そして頭上に鳴り響き続ける花火のもと、第1コーナーから第2コーナーへと走っていく!


あらゆる疲労が完全に消え、ペースが上がる。
光に包まれた世界を惜しげもなく、力強くその歩を踏みしめてゆく!


ここは、、、天国…か…?

いや…



民族衣装を身にまとったボランティアの奏でる楽器の音、選手を映し出す巨大なビジョン、そして


「最終コーナーを曲がって来たのは、真っ赤なウェアのゼッケン518番の選手!!おかえりなさ〜い!!」


ふと我にかえり、
そして両手を振り、アナウンスと声援に応える!



ゴールゲートが見える。
宮古島到着後、この場に立ったとき、「これをくぐるのはゴールしたときだけだ」と、あえてこれをくぐらずにその場を去った。

ヒザの痛みに加え、風邪もひいてしまった。

完走できるかは正直、半分半分だった。



様々な想いがいっせいに沸き上がり、そして一気に吹っ飛ぶ!


ゴールの瞬間は、果たして涙を流すのだろうか。





最後の瞬間を迎える。

ここまで連れてきてもらったボランティアに、声援に、そして自分自身に感謝し、深々と頭を下げ…








最高の歓喜とともにゴールテープを高々と掲げ、自己最長距離の戦いが、
11年の戦いが、

今、終わったのだ。。。







フィニッシュゲートをくぐり、バスタオルをかけてもらい、完走メダル、そしてフィニッシャーポロシャツを受け取る。


ゴールの余韻にしばらくひたり、、、
ふと、思い出したかのように会場の雰囲気を写真や動画に収めたい衝動に駆られた。

スタート地点で預けた荷物にきっちり、デジカメを入れてある。



荷物を回収し、エイドステーションでもらった飲み物、果物そしてうどんを片手に写真を撮っていく。




…不思議と、身体はまだ動く。

極端な疲労困憊感が無いことはすなわち、いつもそうだが「どこかに余力を残していて、100%力を出し切っていない」ということになるのだろうか。
ただ、今回に限ってはそれが完全に良い方向に作用してくれた。
もしケガの心配が無かったら、道中もっと飛ばして、途中で力尽きていたかもしれない。
レース中にこれまでの疲労が一気に爆発して、動けなくなったかもしれない。。。

もともと右ヒザに違和感はあったが、それが顕著になったのは去年の秋頃からだった。
宮古島前に明確な「痛み」となって苦しんだ時期は本当に辛かったが、それでもギリギリのモチベーションと信念の火を絶やすことなく、最低限の練習量を維持して当日を迎えることが出来て…本当によかった。




選手が続々とゴールする。


笑顔、笑顔、笑顔。
一人でも多くの選手が、歓喜のゴールを迎えられますように。。。





制限時間、残り30分。

ここまできたら、最終完走者を見届けよう。

願わくば「その人物こそを自分が!」を目指すキモチもあったけど、下手に時間調整をして時間切れでもしたら後悔するどころの話ではない。
それに、精神的にも安定したペースで走れたほうがずっと良いに決まっている。




突然!
会場がざわめく。

アナウンスが声高らかに叫ぶ!

「ゼッケン462番、近藤真彦選手のゴールです!」


制限時間わずか20分前、マッチがゴールする。
その姿をひと目、見ようとゴール地点が一気にごった返す。





マッチとは去年の佐渡ヶ島ミドルディスタンスでも種目を共にした。

佐渡ヶ島では自転車で落車し、腕を骨折したにも関わらずのゴール。
今回は無事にゴールできたようだ。


RUN23km地点ですれ違った時に見た、彼の姿は格好良かった。
長めの髪をなびかせ、サンバイザーにサングラス、そして佐渡と同じウェア。
ひと目でそれと分かった。

身長が高く、スラッとしていて、格好良かった。


でも今回は、今回は俺が俺を格好良いと、ホントに自分自身にほれぼれとした。

よくやった。
本当によくやった。。。





野次馬が去ったゴールに、どこかで耳にした選手の名前がアナウンスされているのを聞く。

ほかでもない、宿で相部屋になった、歳の近いほうの彼だ。


もともとSWIMが苦手で、しかも今回は競技中に目が腫れてしまい、医者に診てもらってからのSWIMフィニッシュとのことだったが、それでもギリギリ間に合って良かった。

お互いの健闘をたたえ、荷物回収エリアとエイドステーションを案内し、またゴール地点に戻って最終走者を待つ。




20時30分。

制限時間を迎える。


花火が打ち上げられる。
この時間で陸上競技場に入ってさえいれば、タイマーストップのままゴールできるというイキな計らい。

みんな笑顔で帰ってくる。
お疲れさま。


そして、、、



※最終走者のゴールシーンを撮影したデジカメ動画をご覧いただけます。
ダウンロードはこちらからどうぞ。(30.6MB)




最終走者の勇姿を迎え入れ、競技が終わり、選手や島民が徐々に引き上げていく。

21時には選手用の送迎バスが出るが、集合場所ががどこなのかが分からない。
でも、どちらにしても宿まではそんなに離れていないから、歩いて帰ることにしよう。


長い長い一日が終わる。

島民にまぎれ、競技場をゆっくりと後にする。


一足早い夏祭りの季節のような風景が、祭りを終えて帰路につく家族連れの姿が、
次第に遠くなるゴール会場の賑やかさが、、、
少し寂しくもあり、でもそれ以上に完走の充実感に満たされ、幸せのままに帰路につく。


今日は本当に、よくやった。
よくやれた。
頑張った。。。



ありがとう。。。






<総合記録>                 .
総合タイム 12時間32分29秒
総合順位 792位 / 1403人
男性順位 720位 / 1239人
30〜34歳順位 074位 / 0108人
 
<種目別タイム(トランジッション含む)>  .
SWIM 1時間01分00秒 (645位)
BIKE 6時間09分46秒 (806位)
スプリット 7時間10分46秒 (777位)
RUN 5時間21分43秒 (830位)
 
<エントリーデータ>             .
出走者数 1403人
SWIM棄権 0008人
BIKE棄権 0073人
RUN棄権 0113人
失格 0002人
完走者数 1207人
完走率 86.0%
 
<気象データ>                .
天候 薄曇
最高気温 24.2度(14時)
水温 21.5度(6時)
風速 東5.2m
湿度 72%
 
<種目別ラップ>               .
■SWIM    
   1,700m 0:28:36
   3,000m 0:32:23
■着替え 0:12:12
■BIKE 平均 26.5km/h
   030km 0:55:59 (32.14km/h)
   070km 1:34:59 (25.26km/h)
   130km 2:08:56 (27.91km/h)
   155km 1:06:07 (22.73km/h)
■着替え 0:11:29
■RUN 平均 7.6分/km
   05km 0:34:13 (6.9分/km)
   10km 0:34:27 (6.9分/km)
   15km 0:36:49 (7.4分/km)
   20km 0:38:30 (7.7分/km)
   25km 0:43:31 (8.7分/km)
   30km 0:37:59 (7.6分/km)
   35km 0:42:13 (8.5分/km)
   42.195km 0:53:59 (7.5分/km)



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