>> プロローグ <<



メキシコ…
ユカタン半島…

アステカ遺跡…
マヤ遺跡…


きっかけはよく覚えていない。だが、ここに訪れる事が小学生以来の夢だった事は確かだった。

しかし、遠い異国であること、英語圏ではないこと、そして治安情勢といった不安要素が無意識にこの実現をいつまでも遠いままのものにしていた。




全ての始まりは1週間前の韓国旅行のツアーを手配してもらったH.I.S.新宿本店のアジアツアー専門セクション、
ここに帰国の翌日、手配をしていただいた担当の方に挨拶に向かったところにあった。

お礼の言葉を伝え、そしていつかまたアジア方面に行ければいいなという話を軽くして帰るはず、、、だったのだが、
いつの間にか話は自分の夢の話へと膨らみ、


そして触れたメキシコ遺跡旅行への憧れ。




…?

・・・ ! !




今。今なら時間がまだ幾分かは残されている。

そしてお金も…このメキシコ旅行分くらいはまだ何とか余裕がある。



いや、今しか無い。きっと今しか無いんだろう…。今このチャンスを逃したら、次はいつ来るか分からないのではないだろうか?


「いつかそのうちきっと行けるだろう」という、漠然とした夢を持ち続けて過ぎていった20年、しかしそれは、あまりにも漠然としているが故に、いつまで経っても現実のものとはならず、単なる願望として過ごしてきた20年だったのではないだろうか?




…自分は…何かこういうきっかけと言うか、切羽詰った状況下での…そう、決断の勇気に欠けていただけだったのかもしれない。



そう考えているうちに、夢の話はいつしか現実味を帯びてきて…

ひとまず完全日本語パックツアーを探してもらい、その一人参加料金で見積もりを出してもらうことにして、その日は店を後にする。






その日の晩。
見積もりを出してもらう予定のパンフレットを見返すと…

一人参加料金:2万円



ではなく 20万円?!?!



こ…これはちょっといくらなんでも…
夢の実現の総額が…ご、 50万は軽く超えてしまう。。。


そして、明日になったら電話をして別のツアーを見積もってもらうか、最悪キャンセルをするか…と考えていた。




翌朝。

電話が鳴る。
「私もあの値段は高すぎると思ったので、今、別の組み合わせで見積もっているのでもう少し時間をいただけないでしょうか。申し訳ございません。」


いやいや、申し訳ないのはこちらのほうですよ。。。
第一、アジア専門セクションなのに中南米の手配をさせてしまっているし…



そして昼過ぎ。期待と不安を胸に、約束した時間にH.I.S.に向かう。
「キャンセル」という最悪の選択は何とか免れそうだ。


恐らくこれを組み上げるために、睡眠時間を削らせてしまったであろう先方のアイディアは、パックツアーに近いプランを、
往復の飛行機・車送迎・ホテル・オプショナルツアーをそれぞれバラバラに手配する
ことで金額を抑える「手配旅行」を組むというものだった。


手配内容はこうだ。


9/20(水)
9/20(水)


9/21(木)

9/22(金)
9/23(土)



9/24(日)


9/25(月)


9/26(火)
15:55
13:55
18:05
--:--
08:45
14:15
--:--
09:30
12:55
14:55
--:--
--:--
08:00
19:00
04:00
07:00
09:16
14:20
成田空港 出発
日付変更線をまたぎ、ヒューストンで乗り継ぎ (15:45発)
メキシコシティ 到着
スペイン語オンリーのドライバーと合流してホテルまで送迎
テオティワカン遺跡観光 (英語ツアー)
ツアー終了
終日自由行動 (国立人類学博物館に行く予定)
スペイン語オンリーのドライバーと合流して空港まで送迎
メキシコシティ 出発
カンクン 到着
自力でホテルへ(汗
自力でH.I.S.カンクン支店へ行く(汗汗
チチェン・イツァー遺跡観光 (日本語ツアー)
ツアー終了
起床&自力で空港へ (ホテルにタクシーを呼んでもらう予定)
カンクン 出発
ヒューストンで乗り継ぎ (10:50発)
日付変更線をまたぎ、成田空港 到着



無論、不安要素は尽きることがない。


まず思い当たるのが飛行機の乗り継ぎだ。乗り継ぎ自体は初めての海外旅行の時に経験済みだが、あの時は友人との二人旅だったので、彼に付いていけば何とかなったが、今回はそうもいかない。

そして何よりも食事だ。当然、自力でスペイン語を…一度も喋った事の無いスペイン語を駆使して解決しなければならない。


そしてやはり、移動を自力で解決しなければならない部分に対する不安が、言葉の壁と並んで突出していた。




ただ幸いにも、H.I.S.の同じアジア専門セクション内に、かつてバックパッカーとしてメキシコを旅した経験のある方がいらっしゃったので、その情報をいただいていくうちに不安要素が少しずつ和らぎ、ひょっとして何とかなるんじゃないか…と思えるようにもなっていった。



しかも!!

料金総額:23万9千円!!!


これほどまでに金額を抑えられたとあってはもう…行くしかない!!!!








こうして、相変わらず自分の背中を蹴飛ばす勢いで手配を完了させてしまうのであった。


20年越しの夢を叶える旅が今、幕を開ける…。

 

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