>> 京都散策 <<

2001年8月

 

これが3度目となる京都訪問は、とある年の真夏であった。小学校の修学旅行・この数年前の車旅行に次ぐ今回の目的は、その2回の旅行で行くことのできなかった所に行くことであった。一番の目的地は、枯山水で有名な竜安寺(りょうあんじ)。それから織田信長の焼き討ちでお馴染みの比叡山延暦寺と。…だが、実行に移そうにも、なかなか良い天気が続く日が近づかない。が、とある大型台風が過ぎ去る日に狙いを定め、そして決断日、始発に近い新幹線で一路、京都へ。“そうだ、京都行こう。”

自由席を購入し、東京駅にて新幹線に乗り換える。平日の早朝とは言え、行楽客はもとより、ビジネスマンの姿が多く目に付く。むむ。こりゃ座れないか。さすがに3時間も立ちっ放しはツラいので、一本見逃し、列に並び、そして無事に座席に座ることに成功。眠い目をこすって早起きした甲斐があった、ということで、空調の効いた車内、しばしの仮眠。

 

さて、着きましたよ目的地に。まずは右も左も分からないが、とりあえず左に向かい、ホームを降りる。そういえばガイドブック買ってなかった。でも大丈夫。観光案内で情報収集し、それから地図を入手すればもう怖いもの無し。そしてその日の宿の予約を取る。それから帰りの足を確保しておく。東京での予定が4日後にすでに入っていたため、京都滞在可能日数は3日。

まず、行きたい場所をピックアップし、おおまかなルートを組み立てる。さて、まず向かうは…三十三間堂。通し矢と千体に及ぶ仏像でお馴染みですな。
入場券売り場に並ぶカップルの次に並び、そして購入。「大人一枚。」あぁ寂しい(爆)。
さて、靴を脱ぎ、いよいよ内部へ。おぉ、あるあるある仏像が。微妙に一体一体の顔が違っていて、探せば自分にそっくりな顔もある、とか言う話を小学校の頃に聞いたことがあるが、はてさて、いかがなものか。まぁ、自分には全部同じ顔に見えますが?
長い廊下を歩く。キュッキュッキュッ。床がきしむ。と言っても床が腐っているわけではない。なんだっけ、確か「鳴き廊下」とかいって、忍者とかが忍び足で潜入するのを防ぐ役割があったとか、確かそんなことを記憶している。これも小学校の授業で、かな?ん?小学校?そういえば…あっ…ここ、修学旅行で訪問済みじゃん。あちゃー、すっかり忘れていたわい。


 

さてと、気を取り直す…までもないが、お次は…むむ、清水寺まで結構近いじゃん。これで…3度目?なんか、毎回行ってるなぁ。まぁいいや。せっかくだから行ってしまえ。

 

清水寺茶碗坂をひたすら登ること数分。ん〜結構傾斜がキツいなぁ。しかも、さすがは盆地、暑い暑い。でも少し歩けばすぐに到着。入り口付近に看板。「京都タワーに宿泊の方の入山はお断りします」とか、確かそんな感じ。今年もまだ掲げられている。以前、京都出身の友人に聞いた話だと、京都はお寺の力が強くて、なんか、その教え?か何かを無視して建設したのがその京都タワーだったか京都ホテルだったか、だそうな。いや〜人を救う仏教の教えが、こう、何と言うか権力争いというか私利私欲というか(それはちと違うか)、なんか、中世のヨーロッパみたいだなぁ。ま、結論としては自分を何か別なものに頼りきるのはよくない、と。いずれにしても無宗派な私にはちょっと不思議な感じであった。

さて、それはさておき。いつ訪問しても観光客が絶えませんな。そしてよく目に付く外国人観光客。彼ら彼女らは果たしてどう感じるのだろうか。いやはや、それにしても暑い。そんでもって天気良すぎ。そんなもんだから、お馴染みのアングルから写真を撮るも、かえって失敗してしまったわい(壁紙コーナーを参照)。
それにしてもこのお寺、本当に山の中にあるのだなぁ、と実感しながら観光ルートをまわる。ちなみにこの出口は入り口とは別々なので、順路を逆にたどれば入場料を払わずに中に入ることができたりする。ただ、他の人とは明らかに逆を向いているので、白い目で見られるかも。それに、見つかったときは先の争いのこと、ちょっとヤバいかもね。捕まった人の体験談とかないかなぁ。(爆)

 

もう午後1時。というわけで清水寺の坂を下る途中の喫茶店で京都そばを食す。ん〜お茶もうまけりゃデザートも風流があって良い。いとをかしきかな、ってやつですな。古文:得意科目のひとつ。でも百人一首の勉強の怠りのせいで再試験を受けたり。ありをりはべりいまそがり。
昔の記憶を呼び起こしつつも、次なる目的地は…銀閣寺と延暦寺を一度に回るには時間がないなぁ。そこで店員のおっちゃんに相談し、この日残された時間を延暦寺に費やすことにする。

 

足早に下山し、バスを探す。京都はかなりバスの路線が発達しているのもあるが、あくまでタクシーは使わない主義。が、うまいこと目的地と時間に合うバスがない。そこでもうひとつのアクセス手段、電車を利用することにする。実はバスならば一気に比叡山頂上まで上ることが可能なのだが、電車を乗り継げば、お金は少し余計にかかるがロープウェーを利用することができるのだ。

延暦寺2 地下鉄と市電とロープウェーを乗り継ぎ、目的地に向かう。だんだんと乗客人数が減り、最終的にはお決まりのメンバーに。にゃるほど、目的地は皆同じ、というわけか。などと考えながら、のんびりと向かっていく。いや〜ロープウェーは久しぶりだなぁ。
頂上に到着。道なりに進むと、あれ?駐車場?売店のおばちゃんに訪ねると、山道を30分ほど下っていけば本堂に辿り着くとのこと。ホンマかいな?疑問に思いつつも、ほかに道らしい道もないので、言われたとおりの道を進むことに。とは言うものの、かなり険しく、若い人間にはいいが、年とった人間にとっては結構きついはず。本当にこれで合っているのだろうか。多少不安になりながらも道なりに進んでいくと、ようやく古ぼけた寺に到着。しかし、小さすぎる。まさかこれが本堂なはずがない、ということで、さらに下山を続ける。
しばらくして、ようやくそれなりの規模の建造物に到着。いや〜朱色だねぇ。山の中にひときわ異彩を放つその朱色。もしやこれが…?と思ったが、観光客が一人もいない。聞けば、やはり本堂はここではないらしい。しかし、目的地はかなり近いということでひと安心。


延暦寺1助言どおり、少し歩くとようやく本堂に到着した。ほどよい数?の観光客に数々の寺、そして土産屋と。いやぁ、歩いた歩いた。幸いなことに、それぞれの建物に対しての入場料らしきものはなかったので、時間の許す限り寺をまわってみた。ただ、午後4時半で終わってしまうとのことだったので、結局は本堂と根本中堂にしか入ることができなかった。さらに、下山のバスの時間を調べたのだが、これも4時半過ぎに一本という…むむぅ。なんだか次から次へと時間に追われてばかりだなぁ。

ひと回りして、時計を見る。や、やばっ。時間がない。急いでバス停へと向かう。あれ?出入り口?…やや。そうか、自分は本来辿る道順の、まるで逆を辿ってしまったのか。まぁ、それは置いといて、バスにぃ…行ってしまった。。。


仕方なく次のバスまで待つことにする。およそ30分。聞けば最終バスとのこと。いや〜危ねぇ。待ち時間、この山の全体図を確認。むぅ、結構あちこちに散らばっているなぁ。こりゃ車が必須だわ。今回はこれでいいとして、まぁ、忘れた頃にでも、また訪れるとするか。

時間どおりの最終バスに乗り、ひたすら山道を下っていくこと1時間近く。そして街の中心部まできたところで800円を払い、バスを降りる。活気溢れる街を歩き、宿に向かう。久しぶりに食べる本格的な和食。畳の部屋。何気に疲れた一日、関西弁溢れるテレビを見ながら、初日の夜は更けていく。

 

2日目。意外にも大阪が近いことを知り、急遽大阪に向かう。朝イチで朝食をとり、チェックアウトを済ませ、宿と駅との間に位置した本能寺ほか、いくつかの細かい寺に立ち寄り、そして最寄駅から阪急電鉄。90分程度だろうか。ウトウトとしながらも、着実に西へと電車は走る。そして終点、梅田駅に到着。おぉっ!さすがは西の都心。活気とパワーに溢れる。
やはりまずは宿を確保。そして観光地図と路線図を入手し、やはり向かうは道頓堀。案内所では電車での移動を教えてもらったのだが、せっかくだから景色の見えるバスで移動。おぉ、運ちゃん、キンパツやん。それも驚いたが、広い一方通行にも驚く。なかなか整備されているじゃないのよ。やるじゃん大阪。
さて、道頓堀である。テレビでお馴染みのカニ道楽が、食いだおれが、グリコの看板が広がる。良くも悪くもゴミゴミした街。そして溢れる関西弁。これはこれで楽しい。
まずは食いだおれにて、薄口が特徴の関西うどんを食す。それからたこ焼きを食べ、お好み焼きを食べ、って、食ってばっかやのー。

その後、アメリカ村や通天閣といった、観光名所を足早に回る。大阪ドームで野球観戦も考えたが、当時は大阪近鉄バッファーローズがリーグ優勝を争うという好調期。しかも、今日明日にも優勝が決定するのではという、時期が時期だけに入場できない可能性もあり、それは断念。とりあえず荷物を置きに宿へ向かう。

京都では和風の宿に宿泊したので、大阪では一転、ビジネスホテルに宿泊。ベッドに横たわると、急に睡魔が襲ってくる。ひと休みしたのち、再び街に繰り出し、晩御飯をとる。その後、東京と大阪の知人に連絡をとり、かねてより仲間内で噂になっていた、地下街の古いゲームセンター巡りをしながら2日目の夜は更けていく。

 

3日目。最終日である。大阪にはもう少し滞在したかったし、もう少し足を伸ばして神戸などにも行ってみたかったが、時間的余裕と今回の目的を照らし合わせ、軌道修正。京都に戻り、残りの寺巡りをすることにする。そう、何と言ってもまだ竜安寺に行っていないのだから。
3日目に関しては宿をとる必要がない。帰り道は夜行高速バスなので、丸一日時間が使える。というわけで、その足で竜安寺に向かう。それにしても京都って、中心を離れるとすぐに山が見え、のどかな風景が広がるなぁ。京都出身の友人が「あそこは田舎だよ」って言っていたのはこういうことか、と納得。でも私にとっては少し羨ましい環境かも。

竜安寺1さてさて。3日目にしてようやく今回最大の目的である竜安寺に辿り着いた。石や白砂で水の流れを表現するという枯山水。テレビCMでもよく目にしていたが、どんな綺麗な庭なんだろうと、期待を膨らませていた。今日もいい天気。知らず知らずも足早になる。
入場料を払い、靴を脱ぎ、中へ入る。おっ、先客が縁側に座っている。どれどれ…

竜安寺2え〜と、…えっ?こ、これがあの枯山水?これだけ?いっ、ちっ、小さっ…

これが正直な感想であった。事前の期待が大きすぎたからかもしれない。それにしても、これほどまでに狭いとは思わなかった。何より、石が小さい。テレビで見た石はあんなに大きかったのに。まぁ、これはこれでいいのだが、やっぱりガッカリ感は否めなかった。
せっかく来たから、ということで、まわりに見習って縁側に座り、しばし静寂を楽しむ。…ん〜、騒がしいなぁ。なんかカメラマンらしきおっちゃんもせわしないし。
早々に切り上げ、寺の外の庭園をぐるりと一周して寺を後にする。次なるは、歩ける距離の金閣寺。


歩くこと20分少々。お馴染みの金閣寺に到着。小学校以来、10年ちょいぶりの訪問だが、改装中だった当時に比べ、見事に金箔が際立っていた。が、いささか際立ちすぎて、、、どうも、周りの景観と合っていないんだよねー。延暦寺の朱色の建物も同じように感じたが、これはそれ以上だった。まぁ、綺麗なことは綺麗だったので、これはよしとしよう。
順路を辿っていくと、ん〜覚えてる覚えてる。確かここで先生に怒られたっけ。人間の記憶って、結構残っているもんなんだなー。などと思いながらも、出口に着いてしまう。ちなみに出口には警備のおっちゃんがいたので、清水寺のように逆走して、タダで入ることはできないようだ。(ぉ
金閣寺



さて、次なる目的地は銀閣寺。ここはまだ訪れたことがなかったので少し期待。格子状の京都の街並みを、西の端から東の端までバスで移動し、最寄のバス停で降りる。
銀閣寺から南禅寺にかけて続く、およそ5kmの「哲学の道」の存在は地図で確認済みであり、今回の観光ルートにも組み込まれていたのだが、そのなかでもバス停から銀閣寺に至るまでの真っ直ぐに伸びていた直線、特に夏の昼下がりの木漏れ日という、私の好きな要素がこれでもかと組み合わさったこの写真はかなりのお気に入りである。
哲学の道



そして到着した銀閣寺。もちろん、ご存知のとおり銀色に輝く建物、というわけではない、なんの変哲のないただのボロい建物なのだが、これはこれで金閣寺とは違った趣(おもむき)があっていとをかし。何と言っても大きいのは、入り口を入ったすぐ目の前にこのボロ寺が建っているのである。これは、事前知識がないだけにかなりインパクトがあった。ただ、それだけあって観光客はその場で写真を撮りたがるので、そこでつっかえてしまうのがあまりよろしくない。私はそこから少し場所をずらし、人が消えたその瞬間を撮ったのが右の上の写真。
何気にうまいこといった、と満足気味な私、その後、いくつか道はあったのだが、どうやら道順を辿らないと出口に向かってしまうらしい。仕方なく?通常どおりの道順を辿って観光客の列に加わることにする。
階段らしきものを上って下りて、ぐるりと林を進む。そして辿り着いたのは、先ほど逆に進もうとした場所であった。なるほど、ここに出るのか。しかし、何気にここから見る銀閣寺は画になる。しかもうまいこと人が少ない。そこで撮影したのが右の下の写真である。
全体的に、緑が生命溢れていてすがすがしい。派手な金閣寺に対し趣のある銀閣寺。どちらが好きか、と言われると、双方にそれぞれの良さがあるので一概には言えないが、銀閣寺には何かホッとするものがある気がするのは私だけだろうか。
銀閣寺1
銀閣寺2

 

その後、哲学の道をひたすら歩いて南禅寺に到着するも、事前知識がないのでイマイチ面白みがない。また、ひととおり目的は達成されたので、古都巡りは切り上げ、京都の繁華街に入ってゆく。その晩の11時発、東京行きのバスに乗る。3日間の思い出を振り返りながら目を閉じるのであった。

 

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